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　　手の上なら　　尊敬のキス

　　額の上なら　　友情のキス

　　頬の上なら　　厚情のキス

　　唇の上なら　　愛情のキス

　　閉じた目の上なら　　憧憬のキス

　　掌の上なら　　懇願のキス

　　腕と首なら　　欲望のキス

　　さてその他は、みな狂気の沙汰

＊フランツ・グリルパルツァー　『接吻』より＊
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麗しきその黒髪も　　時に居竦む眼差しも
全てが好きと　　呟く桟橋

この旅が終わるまで　　しばしの別離
会えない日々は苦しいけれど
貴方の分まで　　能力[ちから]尽くしましょう
それは　　過去から未来へ通じる誓い

「……行って参ります、星宿様。」
「あぁ、気を付けて。」


『手の上なら　　尊敬のキス』


〜・〜・〜・〜


皆を引き付けるその笑みも　　頼ってしまう広い背も
全てが憧れと　　彼に答えた

自分にないのは　　あのような勇気
自分にあるのは　　…何があるだろう
焦がれて止まない　　もっと近付きたい
彼は　　ただ微笑んで近付いた

「……井宿さん？」
「みんな、君が大好きなのだ。」


『額の上なら　　友情のキス』


〜・〜・〜・〜


利発そうな眼差しも　　心穏やかな微笑みも
存在そのものが　　愛しいと感じた

戦乱を抜け　　復興を託され
最中[さなか]に産み落とす心労は　　如何ほどか
与えてくれた温もりを返せずとも
せめて　　心から感謝の言葉を

「吾子もそなたも、よくぞ無事に…。」
「陛下が、守って下さったのです。」


イメージ：『頬の上なら　　厚情のキス』


〜・〜・〜・〜


ざわめく木々も　　山肌見せる絶壁も
この地が　　彼の一部で総て

中心に座す祖の石碑から
駆け巡る風が　　陽射しを揺らす
いつか　　もっと立派な男になれたら
俺は　　きっとこの地で眠る

「……何してんねん幻狼。」
「！！…ッ誓いや誓い！！！！！！」


イメージ：『唇の上なら　　愛情のキス』


〜・〜・〜・〜


花咲くような笑い声も　　時折見せる心根も
全てが彼女と異なり　　被る

抱いた影を取り払う
内なる強さに　　危うさを見た
あの娘[こ]の為に　　力尽くそう
救えなかった　　彼女と共に

「軫宿？？？」
「……余り、無理はするなよ。」


イメージ：『目の上なら　　憧憬のキス』


〜・〜・〜・〜


生き様も　　笑みも望みも立ち位置も
一見全てが違うよう

そんな彼らと酌み交わす　　時が心が楽しくて
友が心から笑むように
彼の笑顔も見たいと思った
流浪も　　年に一度くらいは

「来年もまた、待ってますよって。」
「ありがとうなのだ。」


イメージ：『掌の上なら　　懇願のキス』


〜・〜・〜・〜


育ててくれた両親も　　共に育った弟妹も
全てを亡くした記憶が残る
隣で笑う愛しい妻と
いつか生まれる愛しい我が子
ふいに浮かぶ焦燥を抱いて
俺が願うのは　　ただ一つのこと
「魏〜〜、誕生日プレゼント何がいい〜？」
「……ずっと、側にいて欲しい。」


イメージ；『腕と首なら　　欲望のキス』


〜・〜・〜・〜


生まれ出でたこと　　愛され生まれたこと
信じ愛しむ者らを得たこと

彼らが　　彼らで在ればこそのこと

幾度も繰り返される言葉に
自分も　　心からの愛しさを以て

「誕生日、おめでとう。」








'07,08,13,
各誕生日に日記に載せたものを再掲載。
コメント諸々はそれぞれの日付の日記にて。


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