巡
巡り巡りて 廻り廻りて
そうして命は続いてゆく
終わる事はないと告げれば
つまらんと一言 男は返した
今 ただこの時をがむしゃらにひた向きに
生き抜けるからこそおもろいのだと
力強い言葉に気圧された
巡り巡りて 廻り廻りて
それでも見知らぬ土地はある
風向くままに気紛れに歩めば
幾つもの驚きと旅先で出会った
今この時こその 景色と出会い
一人心に刻んでゆくのも良いけれど
けれどと土産話の予定を立てた
巡り巡りて 廻り廻りて
年月の速度は増してゆく
どれ程記憶に刻み焼き付ければ
鮮やかに保てるのかと 夢想した
未だ後生に抱えかき集め
それでもこぼれ落ちてゆく欠片を
年月に肩を抱かれ 見送った
巡り巡りて 廻り廻りて
長い長い時に流されて
川底を転がる石ころのように
小さくまあるい光が残る
今はもう力の入らぬ体でも
手離す事なく 両の掌で握り締めた
添えられた温もりに 感謝した
'16/09/06
冗長さは去年の方がまだマシだったんじゃないかと思いつつ。
第2部後から晩年にかけて井宿視点でまとめてみました。
井宿誕生日おめでとう!
今年はオンリーもある事だし、何人の井宿に出会えるだろうと、
今からわくわくが止まりません。
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