5/右膝






雪降る国の道の上

童子は  僧に応えとす




“鬼は  さながら意志の強さを示すが如く

星は  貫き支える御柱の如く

柳は  脈打ち流れる拍動の如く

翼は  技を繰り出す一手の如く

軫は  触れあう温もりの如く

思いと力に相応しく  証をその身に輝かす”




「張は  すっくと立つ姿情の如く……」

続けて口にす僧を見て  微かに頬をほころばす




“ならば

ならば  井はシンを繋ぐが如く

身と身  心と心  信と信をそれぞれに

一歩を踏み出す意志と力を

さながら  それは伝導体の如くに”




書かとの問いに  童子はただ

己が思ったことぞと見やる

その視線の  まっすぐなこと

逸らした視線を稜線に向け

僧は  馬を駆り立てた




    証とは

      証の座す  刻む場所は如何なる故か


話の流れか  気まぐれか

尋ねて得られた応えに迷う

一歩を踏み出す 意志と力

誰より  誰より得難いけれど

彼[か]のすっくとした視線を  信に置き

手を伸ばしてみようかと思った




話の流れか  気まぐれか

問われた答えはどの書にも無い

思うがままに応えたそれを  彼は受け止めてくれたよう

自分も問い返せば良かったと思う

先の言葉に信を置く  けれど自分は

証が無くとも  “証”に沿うかと








'07/08/13
関節って大事だよねという話(笑…ちょっと違うか;)
北甲国の馬上にて。それぞれの設定は捏造ですので、あしからず。
………休み明けのリハビリ代わりに。



BACK