幾度も  激痛と朦朧を繰り返した

幾度も  体の悲鳴に気付かなかった

あの方に  叱責を受けるまで

そんな身勝手な修行を続けていた






9/修業時代






「いたずらに身に付けても扱えぬ。」

「今のままでは、生者も死者も同じこと。」




そして  まだ良いほうかと呟かれた

惨絶の日から  どれ程経とうか

濁流と微風の違いも知らず

押されるがまま流されて

川縁をただ彷徨う  それは

命のみ持つ  死者だった




「心の乱れは、気の乱れ。」

「気の乱れは、術の乱れ。」




知らず宿された  強大な力

扱い方を誤れば

即座に

望まぬものも  傷付ける

取り返しなど

付くはずもない




「常に、心を乱さぬことじゃ。」

意識を  一点に集中する




「その時、自分が成すべき事を考えよ。

他者を退けるか、護り通すか。

……………念の込め方は、既にわかっておるはずじゃ。」




体の奥底に  熱が生まれる

徐々に溢れ出す荒波が  自身の気であることは

もう  既にわかっている




かつて

この感覚を抱いたのは雨の中

我を忘れ  心を乱し

導いた結末も  わかっている


だから


だからこそ




「七宿の生を受けたのは、運命[さだめ]。」

「じゃが、七星として生きてゆくのは、お主じゃ。」




ならば生きてゆこう

何故  生きているのかなどわからない

ただ  わかったのは

あの日  手を離した彼らが




俺の大切な「親友」と

深く愛した「許嫁」ということ




今  はっきりと

それだけが言える








'06,10,22,
「心が動かない」と「心が乱れない」のは、別次元。
言葉として知っていても、実感したのはここ最近(汗)
そして、共に「親友」であったと言えるのは第2部の話。



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