12/花鳥風月 2






野に咲く花に  君を思う

あの日  渡し損ねた簪の

行方を問うても  良いものか




囀[さえず]る鳥に  君を思う

幼き頃の思い出が

眇めた片目に  影を差す




過ぎゆく風に  君を思う

足の向くまま流れつつ

時に行く先を   辿りつつ




頭上を覆う黒雲が

晴れることなど  ないと思った

故なく手にした力など

あの時でなれば  意味もない

そう  思いもしたけれど




仰ぐ月夜に  君を思う

あの日の思いと温もりを

光に変えて  途[みち]を照らそう

今  共にある彼らのために

君が  俺を照らしたように








'10/05/21
……そんなに日々常々”想う”人ではないと感じます、彼は。
けれども様々な折りにふと、
沈んでいる物が浮かび上がるように”思う”ことは結構ありそうだなと、
そんな妄想の根底は無印花鳥風月と同じです(笑)



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