〜日記ログより〜

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物心もようやくついた頃  彼女は息子に語り聞かせた
挫け  心折れる事があろうとも決して
あきらめてはなりませんと

その名を  呼ぶ人の心が
その名を  心に刻む願いが
その名を  貴方に授けた想いが  貴方の芯に灯っていますから

ただただ幼い瞳を見つめ  彼女は繰り返しその名を呼んだ

ふいに思い出されたそれは  余りにも真剣な母の眼差し
名乗ることのない名前  呼ばれることのない名前
けれどもと井宿は胸を押えた

温もりと冷たさをない交ぜにして
今も  確かにそれは此所にある

'08/01/20日記
Tk様の同人誌にグッと来て。
軫宿が良い味出してたんです。('08,02,11)

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風の  雨の  木々の  太陽の匂いがする
いつもの主から飛び乗って  纏う袈裟にくるまる時
ほわりと  彼の温もりが香る

主に別離を告げて後  馬をいなした彼に飛び乗る
駆けて  駆けて  潜り込んだ袈裟はいつしか
土と血臭と  線香の匂いが染み付いていく
ふわりと  彼の悲しみが香る

'07/08/26日記
ざっくりタマ視点。
……彼の袈裟に埋れたいものです。('08,02,11)

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突如  衝撃が全身を駆け抜けた

それは背の童子さえ感じた痺れ
ただ無意識に任せ  これを星宿[ほし]が呼ぶというのだろうか
白銀の街を駆けていた時のこと

風が  雪より冷たく暖かな風がすれ違った
ふいに手綱が緩む  急くような少年の声が遠く聞こえる

  彼が  逝ってしまった

視界が滲む
何故今知らねばならない  何故今感じ取れた
何故……  君が逝く

噎せ返る感情を押し殺し  戸惑う少年に何とか応える
急がなければ  そう
急がなければならない
間に合わない  もう何をしても遅いのだと知る
それでも

握る手綱に爪を立てた

'07/02/19日記
これのみ(語呂直しに)少し修正かけました。北甲国での一場面。
素敵絵を日記にあげて下さったSs様に、多謝を。('08,02,11)

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