死にたいと思うわけじゃない

生き残りたかったわけじゃない









親しい者らと  別れを告げて

舞い戻る地は  紅南の国


未だ彼方に  廃虚が残り

すぐ足下に  献花が並び


そして  空が余りにも青くて




温もりに  輝きに  その遠さに

言葉  失くして




        此処に立つのは  二人




ふと

見知った気配がして

手の中  見知らぬ玉がある


それもまた  温かくて

澄んだ光が      彼のようで




「……帰ろか」

「ああ、行くのだ」




その日

空は何処までも青くて

彼らは以前の暮らしに戻って




頭上で  朱雀が鳴いた気がした








'05/06/15
「三宝伝」はさりげなくスルー(笑)
って二人が戻ったとき、実際どれ程時間過ぎてたんだろ…。


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