贈
金銀白銀 華やかな宝珠
彫物織物 匠の産物
国の至高は全てが此処に
国中からの様々な思惑も 此処に
相変わらず見事なものだなと落とされた言葉は
隣の若き帝の口から
見やって また戻した僧の視線は
目の前に広がる堂の一室へ
貢がれた品の見返りに期待されるもの それを受け止める彼の心
思って 視線を戻さず僧は口を開く
いつか 貴方が見られないものを、お伝えしよう
例えば北国を彩る銀世界 砂塵と熱が共に踊る風
各地で伝わる料理や服飾 それらを生み出す民の声
使命を果たし終わり ただの旅人の身となったなら
それならオイラにも贈れるのだと 明るく楽しく笑ってみせれば
待ち遠しいなと やわらかに目を細め帝は言った
嗚呼 本当によく似ている
土産話を伝えながら 僧は度々そう思う
歳を重ね政事[まつりごと]の中枢に立つ青年に
時折彼の面影が被る
歳を経てなお続く旅路の 行く先々で僧は思い馳せる
次はどれを話そうか
どんな話を楽しんでくれるだろう
弾む心に浮かぶのは
年若い帝と かつて共に並んだ彼の笑み
贈れるとはよく言ったものだと かつての自分に僧は笑う
全く これでは贈られてばかりだ
'13/12/24
Twitter上のサンタさんになるよタグへのリクエスト「井宿と贈り物」
久しぶりの短編詩更新で、感覚が全く判らないなりに色々詰め込んでみたり。
この井宿さんは、いつもと比べポジティブ傾向強め・面倒臭さ控え目です。
ご期待に添えたか判りませんが、M様お受け取りくださいませ♪
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